「何の用だ? まさか本気で勉強を教えてもらいたくなったのか?」 「違います!」 「じゃあなんだよ? バカに使う時間は生憎、持ち合わせてないんだ」 ああ、なんかキュンとさせたり、イラッとさせたり、心を忙しくさせる男だ。 ホント、何なんだろ。 「ほら、自分で口で言いなよ」 真奈がトンッと私の背中を押した。 上川くんにしてあげたトンッが返ってきたみたいで、なんだか少し感慨深くなった。 言えそう。今なら……言える。