私があまりにも平気な顔して食べるもんだから、上川くんに「ちょっと20辛の汁ちょうだい」と言われ、お椀を渡した。


「うげっ! やっぱ辛っ!」


「15と20じゃそんなに違う?」


「全然違うよ。オレの食べてみ?」


勧められて、上川くんの15辛の汁に麺をつけて食べてみる。


なるほど。いい意味でちょうどいい。少しうどんにかける七味唐辛子をかけすぎちゃったくらいの辛さだろうか。


でも、やっぱり辛いものを食べるには物足りない。


「そんなの食ってお腹壊したりしないの?」


「大丈夫。真奈もいっつも20辛だし」


「え? 川上が?」


「結婚を考えてるなら覚悟した方がいいかもね」


と笑いながら、上川くんはこの恋が成就しない方がいいんじゃないかという考えが頭によぎった。


真奈は結婚のことはまだ考えていない。


真奈の言う、「今付き合った人と結婚までなんて絶対無理」という持論から言うと、上川くんと高校生で付き合ってしまうと、結婚はできないということだ。