『キャンプっていつ?』
『8月1日~3日だよ』
『その日はちょうど空いてる。5日からは予定あるけど』
『旅行とか?』
『大した用じゃないけどね。朝からテレビで甲子園観るんだよ(笑)』
「甲子園」。その言葉で、私は過去にタイムスリップした。
中越くんが肘を怪我して、野球部を辞めたと聞いた時、私は中越くんの苦渋の決断を理解しようとしなかった。
それどころか、「夢を簡単に諦めるの?」なんて言ってしまった。
夢を諦めることは、夢を追いかけるよりも、ましてやキャンプに誘うことなんかよりも、よっぽど勇気がいることなのに……。



