「あー、ダメだ。ごめん、ちょっと思いつかないや」 「そっか……。あ、無理言ってごめんね」 そう言って通話を切ろうとした時、電話口で「あ! そうだ!」という声が聞こえ、慌ててスマホを耳に当てた。 「本屋、行かない?」 「本屋?」 「そう、本屋。ちょうど僕も新しい本が欲しかったところだし、それに本棚を眺めていたら、おすすめも思い出すと思うんだけど、どうかな?」