「それ、『ぼくなん』?」 振り返ると、長い髪を後ろで束ねている真奈が立っていた。 「相変わらず恋愛小説で現実逃避行かあ……」 「それ言わないで。今、ちょうどそのことでブルーになってたとこだから」 種類の違う2つのため息が、いい感じにハモった。