次の日、いつも通り学校に行き、授業を受け、部活に行き、学校での1日が終わった。




「美麗!今何時?!」




「え?あ、18時15分だけど……。」




やばい!!昨日西田と約束していた時間から、もう15分も過ぎていて、大焦りの私。




「ごめん、美麗!!今日は一緒に帰れない!先帰るね!」





「えぇ?!なんで?!」





「理由は明日説明するー!!さようならー!」





音楽室を飛び出し校門へ走る。校門には練習着のままの西田が、スマホをいじって待っていた。





「西田!遅くなってごめん!」





「ほんとおせー。待ちくたびれたし。」





「ごめん、練習長引いちゃって!」





「お疲れ様。よし、行くか!」






「西田もお疲れ様!」






2人で駅まで歩く。來人が行っている保育園は、学校のある駅から2駅先。私達の家があるのは学校から3駅先。保育園がある駅には、たくさんのお店や、ショッピングモールがあるからそこでプレゼントを買うつもり。行き掛けの電車に滑り込みで乗り込む。






「ごめんね、來人迎えに行かなくちゃいけなくて。」





「全然いいよ。俺來人のこと好きだし。」





西田は私の家のことをわかってくれて、いつも手助けしてくれたりする。本当に助かってる。





「おりるぞ。」




「あ、うん!」





電車をおり、保育園へ。





「こんばんは、小森です!」





「あ、ちょっと待ってくださいね!來人くーん!お迎えきたよ!!」





中で遊んでいた來人は、お迎えがきたと聞き、すくっと立ち上がり一目散にこちらへ走ってきた。






「ねぇね!!!」





「來人〜いいこにしてた?」





「しちぇちゃ!」





「あ!ちょーくん!」





西田を見つけ、そうくん!という來人。言えてなくてちょーくん、だけど。





「久しぶりだな、來人!」






私にだっこされている來人の頭を、ワシワシとなでる。





「來くん、荷物とっておいで。」





「あい!」





先生と荷物を取りに行った來人を、西田と待つ。まだお迎えを待っている小さい子がたくさんいる。






「ねぇね!ちょーくん!」




カバンを持った來人がきて、そんな來人は西田にひょいっと抱っこされる。





「ありがとうございました。また明日もお願いします!」





「お願いします!」





「はい!さようなら、來人くんもバイバイ!」





「びゃいびゃーい!」





西田まで挨拶してくれて、ほんと西田っていいやつだなって改めて思う。






「ねぇね、こりぇあげりゅ。」





來人から渡されたものを受け取ると、そこには私の似顔絵だろうものが描かれていた。





「ふふ、ありがとう!來くん、絵上手だね!」






よしよし、と頭を撫でる。來人はニコニコご機嫌で、西田の腕の中で歌えてないけど、歌を歌っている。





「ショッピングモール行く?それとも、そこら辺の雑貨屋とか入る?」





「んー、西田に任せるよ?西田が買いたいところでいいし。」





「何買うか決めてねーからな…。ショッピングモールでいい?」





「うん、いいよ!」





あ、誰にも今日行くこと言ってなかった……。私はすぐにスマホを取り出し、家族のLINEグループに送る。





[今日ちょっと買い物行くから、誰か晩御飯お願いしてもいい?來人は迎えに行った!]





すぐに既読が2つき、それが弟組だとわかった。





[わかった!綾人兄とご飯作って待ってるね!]





[作れるかわかんないから、なるべく早く帰ってきて。ほんと俺、料理無理。]





[愁人がわりとできるから大丈夫!だけど、なるべく早く帰るようにするね。]






スマホを閉じ、じーっとこちらを見る西田に何?と声をかける。





「いや、頑張ってるんだなって思って。」





「ん?」






「みんな小森を頼りにしてるじゃん?みんな小森大好きだし。それは小森がいつも家族のことを考えて動いてるからであってさ、だからすげー頑張ってるなって。俺、小森といると自分にもできることすげーあるんじゃないかって思えるんだ。だから、少しだけど家の手伝いとかもしてる。」






「そう……なのかな。私、気がついたらいつも今みたいなことしてて、それが当たり前だからよくわかんないや。なんで私がこんなことしなきゃいけないのとか、もっと遊びたいのにとか、たくさん思ったこともあったけど……最近は家族がいっぱいいてよかったなって思ってる。」





「羨ましい。俺姉ちゃんだけだからなー。」





「いいじゃん。私お姉ちゃんほしかったな〜!」





「俺の姉ちゃんでよかったあげる。てか、姉ちゃん小森のこと大好きだから!いつでも姉ちゃんって思ってくれていいって言ってた。」






「ほんと?嬉しい!」