「ねぇね。」



ぎゅっと私に抱きつく來人の、小さな背中をぽんぽんと叩く。しゃくりを上げながら、必死に私を抱きしめる姿が可愛くて、思わず頬が緩む。






「頬緩みすぎ、きもい。」






「きもくないし!!!あ、宙兄おかえり!」





「ただいま。」




そう言って私の頭をぽんぽんとしてから、お母さんとかにもただいまって言って、自室に着替えに上がる宙兄。私はお兄ちゃんのことを初めの2文字プラス兄付で呼ぶ。弟達は気分で初めの2文字プラス君付けかな。






「ただいま〜!あ、桃愛〜!」





「光兄、おかえり!!」





來人と私ごとギューッと抱きしめる光兄。そのまま満足したのか、お母さん達にもただいまと言い自室へ。これでお父さん以外の家族がそろった。






「ねぇね、ちゅき!」





「んふ、私も來くんが好きだよ〜!」






ギューって抱きしめると、きゃははっと笑う來人が可愛くて仕方ない。





「ほんとみんな桃愛が大好きね。微笑ましいけど、ちょっと嫉妬しちゃうわ。」





そう言って綺麗に笑うお母さん。





「まあ、仕方ないわね。私が仕事ばかりで、全部桃愛に押し付けてるもの。」






そんなことないのに……。お母さんとお父さんが一生懸命に働いてくれているから、こうやって幸せな暮らしができている。






「來くん、そろそろねぇね、ご飯作りに行っていい?」





「め!りゃいといりゅの!」






「でも、ねぇねご飯作りに行かないとな〜。來人の大好きなご飯できないよ?」






「…………ちゅうにぃといりゅ。」







「よし、いいこ、いいこ!愁くん!來くんのことお願いね!」







「はーい!」






キッチンへ戻り、再度手伝いを。






「こんな人数いらねーな。俺、洗濯物とりいれてくる!」






「助かるわ、ありがとう、綾人。」






それから宙兄も光兄もおりてきて、宙兄はお風呂洗い、光兄は綾くんと洗濯物と家事を手伝ってくれる。





しばらくし、ご飯ができ、洗濯物やお風呂洗いを終わったみたいなので、ご飯を食べることに。





「いただきます!!」






全員が声を揃えて言い、食べ始める。






〜〜〜♪






突如鳴り出した私のスマホ。電話……?誰からだろ。






「出てもいい?」






「いいわよ。」






お母さんに言ってから電話に出る。相手は西田からだった。






「もしもし?」




「あ、急に電話かけてごめん。用件だけパパっと言いたくて。」






「うん、全然大丈夫。私も言いたいことあったし。」






「ならよかった。で、明日なんだけど、部活何時まで?」







「普通に18時まで。」







「お、ちょうど良かった。明日俺らも先生が出張で早く帰んなくちゃダメらしくて18時終わり。じゃあ、校門で待ち合わせでいい?」







「うん。あの、それって私だけで行ったほうがいいのかな?」







「どういうこと?」




「來人のお迎え行かなくちゃなんなくて……來人も一緒でいいかなー?って。」






「全然いいよ。姉ちゃんへの誕プレ選ぶの手伝ってもらいたいだけだし。」






「あ、そっか。瑞希ちゃん、お誕生日もうすぐだもんね。私も明日プレゼント買おー!」





「うん。じゃあ、また明日!」






「また明日ね!」






電話を切り、席に戻ると、お兄ちゃん達からの冷やかしの声。







「なになに?ついに彼氏??」





「桃愛に彼氏??」





「え、やだよ。姉ちゃん、俺のだし。」






「綾人兄だけのじゃないし!俺らのだし!!」





「あい!!」






みんなで怒りはじめる。いやいや、待って?いつ私が彼氏だって言ったよ。






「彼氏じゃないよ。西田だもん。」





「ああ、颯太ね。」






全員がなるほどって顔をする。颯太とは小学校からの幼馴染だし、全員顔見知り。というか私の兄弟達とは仲がいい。







「好きな人いないの?桃愛。」





「いないよ〜。お母さんは私ぐらいの時には彼氏いた?」






「いたわよ。お父さんとつきあってたもの。ほら、私高3の終わりぐらいに妊娠しちゃったし。」





私のお母さんは高3の終わりに宙兄を妊娠した。なんとか学校にバレないまま卒業できたらしい。お父さんはお母さんの高校の先輩だったらしい。今お母さんは39歳、お父さんが40歳。





「桃愛も恋の1つや、2つ、しないさいよー?」






「うーん……。」






なんて、兄弟のみんなと恋バナらしきものをして盛り上がった。そんな話をしていた時、私の頭に浮かんでいたのはあの人だった。