「ただいま〜。」




「おかえり!」




リビングから元気な声を返してくれたのはお母さん。私の家はごく普通の一般家庭。お母さんとお父さん、2人のお兄ちゃんと3人の弟。




「おかえり姉ちゃん!」





「ただいま、愁人。」





男兄弟の中で育ったから、私自体も男勝りな気がする。

1番上のお兄ちゃん、宙人(そらと)、大学3年生。2番目のお兄ちゃん、光人(ひろと)、大学1年生。3番目が私。4番目の弟、綾人(あやと)、中学3年生。そして5番目の弟、愁人(しゅうと)、小学6年生。最後に6番目の弟、來人(らいと)、去年生まれたばかりの1歳。





「桃愛ー!ちょっと着替えてきたら手伝ってー!」




「はーい!」




3階にある自室に入り、パパっと部屋着に着替える。なんで私はこの男兄弟ばかりの家に生まれたんだろう?とか、なんでこんなに兄弟がたくさんいる家に生まれたんだろう?とか、いろいろ思ったこともあるけれど、まあ、こんな家族も悪くないかなって。






「お母さん、何手伝うー?」





「野菜、切ってくれる?今晩はカレーにする予定よ。」





「わかった!」





「あ、それと、また明日からよろしくね?」





「うん。大丈夫だよ、任せて。」





お母さんは看護師で、中々家に入れない。だから來人は保育園で、そのお迎えを私達兄弟の誰かが行くことになっている。そのまま買い物をして夜ご飯を作って終わり。初めは大変だったけれどもう慣れたなー。






「お母さん、お父さん今日も帰って来れないのー?」





「うん、忙しいみたい。愁人、明日からお母さんもだから、よろしくね。」





「うん!」




寂しそうな顔を隠すように無理に笑う愁人。仕事だから仕方ない、そう思うけれど寂しいものは仕方ないよね。





「ただいま!」





「あ、おかえり!綾人!遅かったね?」





「うん、部活あってさ〜。練習無かったらほんとは15時に帰れてたのに!!」





なんて言いながら、自分の部屋にあがっていった。私も今日は早く帰ってこれて、16時に帰ってきた。明日からは19時ぐらいになるしな〜。上2人のお兄ちゃんは今日も遅いんだろうなー。






「うぇーん!!!!ねぇね!!」





寝ていた來人が泣き出す。





「えぇ!ちょ、愁人!お願い!」





私達が料理するのをぼーっと見ていた愁人にお願いする。





「よしよし、泣かないよ、來人。」





「ねぇね!!ねぇね!!」





「なんで來人こんなに泣いてるの?」





部屋着に着替えてきた綾人が、愁人から來人をもらう。





「泣くなよ〜。ほら、いないなばぁ!!」





「ねぇね〜!ねぇねー!」





「ダメだこりゃ。姉ちゃん!姉ちゃんがいいんだって、來人!」





「私?!えっと、じゃあ、綾人…私の代わりに野菜切ってて!」





綾人から來人を受け取り、綾人は野菜を切りに。





「よしよし、泣かないよ。」