「どうしてこんなことになってしまったっつや!」
俺はとにかく無我夢中で走っていた。もとい、はしっちょった。(宮崎弁)

ここからはめんどいので、宮崎弁でしゃべることを割愛させていただく。
こんにちは。そんげなこついっちょる俺の名前は、汗
・・そんなこと言ってる僕の名前は、テルヒコという。いいます。

俺(青年テルヒコ)は真昼間のなまじじりじり暑いこんな太陽のむさくるしい季節に
石原慎太郎の小説のタイトルのような、そんなイヤな時期に折り畳み自転車で森の中を滑走していた。

「なんて速い速度で迫ってくるんだ!あいつら忍者部隊か!(テルヒコ)」

俺は内心とんでもないことに首を突っ込んでしまったことを後悔していた。
あいつら・・・どこまでもどこまでも追ってくるんだもの。追っ手という表現が似合いすぎている、
もうほんとうにやめろて~といってしまいたくなる具合の
そんな連中なんだ。

目の前に無数のヒトガタが現れたかと思うと、自転車は急にパンクしちゃって、
先日の豪雨と、炎天下の気圧膨張のせいもあり一気にネジはねじりきれ、俺の体は天空に投げっぱなしジャーマンス―プレックスされていたのだった、のだが・・・。

「少年!君は知ってはならないことをあまりにもおおくネット上で多大にカミングアウトしてしまった!
そして我々組織への愚弄の数々・・・・・・・・・赦せん!一族の名誉にかけ、今日こそ君の命をいただく!太陽の血族を継ぐは、日の本の黒点なる我々なり!(追っ手)」

カラスの首につけられた音声器から、品のある高尚な使命に酔いしれる男たちの声が聞こえてくる。

得体の知れないあいつらに、俺は立ち直り力を振り絞る。カラスの羽を無理につかんで、

引きちぎっては投げ飛ばす。うわぁあ~~~~!と絶叫しながら、太陽の真ん中に照らされた俺は

半分鼻水交じりでいかほど~!ともう完全におかしくなって、無我夢中でカラスどもを蹴り飛ばして

尾鈴山(俺の地元の山で早日の峰とよばれている)の山中を、ぐるぐるぐるぐる

奴らと追っかけっこしていた。

それも、数日前から俺の住んでいる宮崎県児湯郡高鍋町大字上江の周辺の地区以外、みんな行動がおかしく、眼の焦点が合わなくなってしまっていたからである。ゾンビ映画のようなあの気持ち悪さである。いや、何も俺単体が気持ち悪いからみんなして総無視されていたというわけではないだろう、と思う。(そうでないといえる自信も日ごろないけど)ただ、確実にコンビニ店員の笑顔で応対してくださる母の知り合いの岩岡さんが、急に俺に声をかけてくれなくなってから、こいつは変だぞって、ちょっとさすがの俺でさえ本格的に思うようになっていった。こりゃいかんやろう。ふつうみんなもそうおもうでしょ?あんだけスマイルの知り合いがそうなったらさぁあ。隣人の新庄さんや、筑さんとかはそうでもないんだが。俺たちの住む地域に何かそのヒントでもあるんだろうか。でも彼らは別に「なにもおかしくないよ。テルヒコくんだけそう思って、気にしすぎてんじゃないの?そうかなぁ?普通じゃないの?相手が感じ悪い人だったんだよ!人はいろいろいるからねぇ~。」てな感じやった。

ヒントはコンビニ店長のその、彼(岩岡氏)の首元を見てしまった時、首にマイナンバー○○○○○ってマッキーで即席で書いてあったから、それを見てさすがに引いちゃったのである。

そして家に帰ったら、処分しようかと思っていた20年前のラジオからこう声がした「宮崎県民のみなさん。特に児湯地方のみなさん。わたしは宮崎県元知事、そのまんまAZUMAこと東国腹美出男です。いま東京から怪電波を流しているんですが、県内にいる児湯郡は高鍋町の大字上江の河原古事記という地区に住んでいるテルヒコという26歳の青年を探してください!見つけて県内から強制退去または捕獲して県庁まで連れてきてくださった暁には、現金にして10億円を贈呈させていただきます。ええ繰り返します。・・・」

え、・・・・・・・いやテルヒコって、ここはたしかに河原古事記(かわらこじき)地区だけど、まさか人違いじゃないよなぁあ!・・・・・・・でもここに住んでる20代の若者って俺だけだし・・・。

ピンポーン。チャイムが鳴った。そんなとき

「えーすみません。わたくしども、児湯県警のものなんですが。お宅のテルヒコさんいらっしゃいますか~。すこしお伺いしたいことがございまして・・・。」


笑顔でとても愛相の良い警官が3名、俺の家に来てそんなことを言ったのであった。俺は頭の中が真っ白だったが、否、目の前が真っ白だったけれど、人生でだれにもぶちかましたことのない飛び蹴りというのを、警官にやらかしてしまっていた。本当にごめんなさい。でも俺も怖かったんだ。これはもうふつうじゃない。て、いうかなんかのドッキリ?だとしたら俺まずくね?このシュチュエーションはちょっと、もう・・・

パン!パン!だが彼らは容赦なく発砲してきた。これはちょっとおかしくなってる。

実はこの時ベルトに弾が当たり、隣人のマユ(おさななじみの少女)の玄関に弾が当たっていた。これもこれでやばくね?!、充分やばいが、無事なことを祈ろう。いつもはあいつらは家にいないし・・・・・あ、そうそう。言い忘れていたが、俺は家で雑誌社や企業から頼まれたものを記事にして生活している。隣のマユとは幼馴染だったが、彼女はもう東京に出てほとんど帰ってこない。昔は相当意味もなくあいつに嫌われて俺も思春期以降話すこともなくなってこちらこそ嫌いになって嫌厭していたけれど、あいつが家にいなかったことをよかったと別の意味でこのとき思ったのだった。