極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

「……本当に、迎えに来てくれたんですか?」

「捨てられたと思っていたのか?」

こくり、と頷く私。だって、婚約者がいると聞かされたら、普通はそう思うでしょう?

「もう、ご結婚されたのかと思いました」

「結婚? なんで?」

「婚約者がいると聞きました。良家の子女がどうとか」

「ああ……そんな話まで聞いたのか」

やっぱりそうなんだ、と唇をかみしめる。それにしては、このあっけらかんとした反応はなんなんだろう。

「まさか、『神崎には婚約者がいるからあきらめて俺と付き合え』なんて、逢沢に焚きつけられたのか?」

はい、とは言えず、ぐっと押し黙ると、神崎さんは私の様子から肯定と受け取ったらしく、はぁぁ、と深いため息をこぼした。