「酔っ払いを運ぶだけだ、大人しくついてこい」
運ぶだけって、この状態で私をどこへ連れていこうっていうの!?
確かに私は酔っぱらっているけれど、一年前のあの日は乱雑なおんぶだったじゃない。
突然丁寧に扱われて、その上、神崎さんの精悍な顔が目の前にあって、心臓に悪すぎる!
私を抱き上げたまま、神崎さんは革靴を履き、器用に玄関のドアを開ける。
わっと外の風が入り込んできて、私は思わず目を閉じた。
追いすがってきた逢沢さんに向けて、神崎さんは「すまない、出る時、鍵をかけてきてくれないか! 合鍵、そこに転がってるから」追いかけてこないようにだろうか、わざと時間を稼ぐようなことを言う。
真面目な逢沢さんは一瞬躊躇して……。
「か、神崎!」
「じゃ、戸締り頼むな!」
間の抜けた声で揚々と告げると、神崎さんはドアを押さえていた足を外した。
ガチャン、と大きな音を立ててドアが閉まり、ふたりきりになった瞬間、神崎さんはふっと口元を柔らかくした。
運ぶだけって、この状態で私をどこへ連れていこうっていうの!?
確かに私は酔っぱらっているけれど、一年前のあの日は乱雑なおんぶだったじゃない。
突然丁寧に扱われて、その上、神崎さんの精悍な顔が目の前にあって、心臓に悪すぎる!
私を抱き上げたまま、神崎さんは革靴を履き、器用に玄関のドアを開ける。
わっと外の風が入り込んできて、私は思わず目を閉じた。
追いすがってきた逢沢さんに向けて、神崎さんは「すまない、出る時、鍵をかけてきてくれないか! 合鍵、そこに転がってるから」追いかけてこないようにだろうか、わざと時間を稼ぐようなことを言う。
真面目な逢沢さんは一瞬躊躇して……。
「か、神崎!」
「じゃ、戸締り頼むな!」
間の抜けた声で揚々と告げると、神崎さんはドアを押さえていた足を外した。
ガチャン、と大きな音を立ててドアが閉まり、ふたりきりになった瞬間、神崎さんはふっと口元を柔らかくした。



