極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

これには、逢沢さんの方が面食らったようだった。

「さ、咲島さん……」戸惑うようにつぶやく。

逢沢さんの肩からおそるおそる神崎さんの様子を覗いてみると。

「ふーん。なるほど」

興味なさそうに呟いて、納得するように顎に手を添えていた。

そ、それだけ? リアクション、それだけなの? 

やっぱり、私の存在って、その程度だったのだろうか。

迎えに来たなんて言って、結局神崎さんのいつもの気まぐれにすぎないのだろうか。

ぎゅっと胸が潰れるように痛んで、逢沢さんの腕の中でじっと身を竦めていると。

「言っておくが、俺は、相手の意思を尊重して身を引くような善良な人間じゃない」

視線が合ってしまった一瞬の隙をついて、彼はニッと不敵な笑みを浮かべて、私を睨んだ。

まるで照準を合わせたままトリガーに指をかけられているみたい。

あまりの余裕っぷりに、なにを企んでいるのだろうと怖くなった。