極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

無理もない。一年前のあの日、「次は逢沢さんに送ってもらうかな」なんて冗談めいて言った私に、彼は「あいつだけはやめとけ」と釘を刺したのだから。

もしかしたら、神崎さんの目には、私と逢沢さんが恋人同士に見えているのかもしれない。

失望、されてしまった……?

「神崎、さん……私……」

恐る恐る彼の背中に呼びかけると。

「まあ、いい。俺が一年間、お前を放り出していたのは事実だしな」

神崎さんは納得したように呟いて、腰に手を当てて嘆息した。

違う、そう言いたくて口を開こうとしたけれど、どう説明したらいいのかもわからない。

現に今、逢沢さんに家まで送ってもらってしまったのだ。

もちろん、やましい気持ちなどなく、単純にお酒を飲みすぎて歩けなくなってしまっただけだけれど、そのままベッドにもつれ込んでしまった前科もあるわけだし、神崎さんからは、私が心を許したように見えただろう。

その上、逢沢さんが今にもかみつきそうな目で神崎さんを睨んでいるから、言いわけのしようもない。