極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

これは現実だろうか、酔っぱらいすぎて願望が夢に出てきちゃったんじゃないよね……?

確かめることも出来ずに、ただただ戸惑っていると。

「今さら姿を現して、どういうつもりなんだ」

背後から響いてきた冷ややかな声に、私と神崎さんは顔を跳ね上げた。

玄関から歩いてきたその人物を見た瞬間、神崎さんの表情がピリッと険しいものに変わる。

「逢沢……」

神崎さんは眉をしかめて立ち上がり、逢沢さんを真っ直ぐに見据えた。

「久しぶりだね。神崎。もう二度と会わないと思っていたけれど、まさかこんなところで会うなんて」

「……まったくだな」

穏やかな口調とは裏腹に、声色はとげとげしい。

表面的にはふたりとも恐ろしいくらいに冷静に見えるけれど、ただならぬ熱を胸の中でたぎらせているのがわかった。

「……お前、本当に俺がいない間、逢沢に送らせてたんだな」

視線を逢沢さんによこしたまま、神崎さんが低い声でつぶやいた。その剣幕に、私は震え上がる。

……神崎さん、怒ってる?