極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

ブラックのスーツに身を包み、髪は昔よりも丁寧に整えられていて、キリっとした清潔感がある。

一年ぶり――なんだか少し昔とは違う印象だ。それなのに、あのときとまったく変わらない、私を見下ろす余裕の表情。

一年前の夜の記憶がフラッシュバックした。

呆然と立ち竦む私に、彼はニヤリと口の端を跳ね上げて不敵に笑う。

「まぁ……俺もお前を一年待たせたから、おあいこか?」

「神崎さっ……!」

目の前にある彼の姿が信じられなくて、その場にへたりとしゃがみ込んでしまった。

なんで突然、こんなところにいるの……? しかも、家の中に堂々と上がり込んでるってどういうこと?

疑問符が湧きすぎて、どこから問い詰めればいいのかもわからない。

「どうして……」

「……鍵。借りたままだったな」

神崎さんが私に向かって合鍵を放り投げる。

きらりと光って弧を描き、私の目の前の淡いピンク色のラグマットの上にころりと転がった。