極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

「誰か……いるの?」

私が玄関のドアをそっと押し開けると、男物の靴が真っ先に目に入ってきた。

仕立てのいい、真っ黒な革靴。サイズは大きめで、持ち主がかなりの長身であることがわかる。

この靴、どこかで見覚えが……。

「――遅い。こんな時間にご帰宅か?」

部屋の奥から、聞き覚えのある低い声が響いてきて、私は心臓が止まるかと思った。

まさか。嘘……。

酔いなんていっぺんに吹き飛んで、靴もバッグも放り捨てて、ドタバタと廊下を踏み鳴らしかけていく。

突き当りのワンルームの部屋に辿り着くと、そこには。

「俺を何時間待たせるつもりだよ」

ベッドの縁に背中をもたれ、長い脚を放り出して座る彼がいた。