極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

ふたり、よろよろともつれ合いながら、なんとかマンションの前の階段を上る。

「鍵は?」

「あ、はい、ここに……」

バッグのポケットからごそごそと鍵を取り出して、オートロックの鍵穴へと差し込む。

酔いのせいで手の動きが覚束ない。

「部屋は?」

「三階の、奥から二番目……」

エレベータで三階に向かい、たまに転びそうになるのをなんとか支えられながら、玄関の前まで辿り着いた。

鍵穴に鍵を差し込んだところで、ふと、違和感に気づく。

鍵が、開いている……?

私が酔っ払いすぎておかしくなっているのだろうか? でも、確かに、鍵穴を回しても開いたような感触がなかった。

今まで鍵をかけ忘れて家を出たことなんて、一度もなかったのに。