その日の夜遅く。
逢沢さんに慰められるように久しぶりにお酒に手をつけてしまった私は、案の定、足元が覚束なくなり、タクシーへ乗り込んだ。もちろん、逢沢さんも一緒に、だ。
頭がふわふわとして、顔が火照って熱い。
タクシーから降りて、ひとりで真っ直ぐ歩けない私に、逢沢さんは肩を貸してくれた。
昼間聞かされた話がショックだったからといって、さすがにこれは飲みすぎたなぁと反省している。
もちろん、逢沢さんのことが好きだからあえて家に送ってもらおうとか、神崎さんのときのように酔って一夜をともにしようとか、そんな打算はまったくない。純粋に、お酒による失態だ。
「すみません、すみません、本当に……!」
逢沢さんはクスリと笑いながら、寛容に頷いた。
「いいんだよ。やっと君が俺を頼ってくれて、うれしい。……まぁ、飲みすぎは感心しないけどね」



