極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~

ぎゅっと目を細めるけれど、本人かどうかはハッキリわからなかった。

まさか。見間違いだろう。シルエットが似ている女性なんて、わんさかいる。

クラシックの生演奏が一曲終わり、辺りが拍手の音で包まれた。神崎さんも緩慢な動きで手を叩いている。

MCが壇上に上がり、次の曲目の紹介を始めた。イベントはまだまだ続きそうだ。

ずっとここから神崎さんを眺めているわけにもいかない。

私もそろそろ帰ろうかと足を一歩踏み出すも、せっかくこんなに近い距離にいるのに、素通りするのも寂しい気がした。

ダメもとで電話をかけてみようか? 私はここにいるよ、と上から小さく手でも振りたい。

バッグから携帯を取り出して彼にコールしてみると、彼は懐に手を突っ込んでスーツの内ポケットから自分の携帯を取り出した。

待ち受け画面を見て、通話しようと指をすべらせようとしたところで――。