無理をすることになったのは、神崎さんの仕事を私が一身に受け継いだから――なんとなく神崎さんを連想してしまって、私は目線を逢沢さんからお料理へ逃がした。
「咲島さん」
ふたりの間の空気が微妙に変わってヒリヒリする。感じ取ったのは逢沢さんも一緒だったらしくて、声をあらためて私へ向き直った。
「今日も神崎のところに行くの?」
ぽとり、と茄子とチーズのはさみ揚げが私の箸から落ちた。
答えあぐねていると逢沢さんは三つ葉の香り漂う鴨出汁のお吸い物をひと口飲んで、わずかに声を明るくして言った。
「合鍵、すぐに返したいところなんだけど、俺としたことが家に置いてきてしまって。明日でもかまわないかな?」
こんなに明るく、合鍵の話を……。
気を遣ってくれているのがありありとわかって、いたたまれなくなってしまう。
「咲島さん」
ふたりの間の空気が微妙に変わってヒリヒリする。感じ取ったのは逢沢さんも一緒だったらしくて、声をあらためて私へ向き直った。
「今日も神崎のところに行くの?」
ぽとり、と茄子とチーズのはさみ揚げが私の箸から落ちた。
答えあぐねていると逢沢さんは三つ葉の香り漂う鴨出汁のお吸い物をひと口飲んで、わずかに声を明るくして言った。
「合鍵、すぐに返したいところなんだけど、俺としたことが家に置いてきてしまって。明日でもかまわないかな?」
こんなに明るく、合鍵の話を……。
気を遣ってくれているのがありありとわかって、いたたまれなくなってしまう。



