彼の物憂げでメランコリックな横顔に見惚れてしまっていた。

私のこと、部下として、大切にしてくれてたんだ。

それから……こんなことを思う私は、自意識過剰なのかもしれないけれど……。

他のやつに送らせたくなかったってことは、私のこと、少しは自分のものにしたいって思ってくれてたってことだよね……?

当時の私は、女性扱いされている自覚なんてゼロで、そういう目で見られているなんて考えたこともなかったけど。

……なんだかちょっと、うれしい……。

すました顔をキープしながらも、心の中はポカポカと温かい。

「それから、これ」

私のマンションの前に車を止めた神崎さんは、ポケットからなにかを取り出して、おもむろに私の膝の上に落とした。

きらりと輝いたのは――鍵。

「お前の方が、帰るの早いと思うから。それ使って部屋に入ってろ」

そっぽを向いたまま興味なさそうに言う彼。これってもしかして――。

「合……鍵……ですか?」