「あああっ、もうっ、鬱陶しい!!だから痛みは嫌いなのよ!!」

本人も絡みつく様に鬱陶しいなら、刻まれた傷も実に鬱陶しく存在を示してくる。

外を謳歌してみろ?他の刺激?

そんな物ありはしないだろうと言いたげなあの嫌味な笑みに【ざまあみろ】と書いたホールケーキを投げつけてやりたい。

「いくらでもあるっての」

それこそだ、新しい服だって見たいし欲しいし。

愛用してる化粧品の新商品や限定品もチェックしたい。

女として楽しむ刺激は世の中に満ち満ちている。

あんな異色な刺激にそれを求める必要はないのだ。

今抱くこれは時差ぼけの様な感覚だろう。

臆してどうする。

そんな意識で本来の自分と言うモノを形成し直し始めると息を吐き、クローゼットから服を選ぶとプライベートで自由な姿に自分に彩り着飾って退屈な自宅から身を出した。



ほら、少し見ぬ間にだ。

馴染みの服屋には自分好みの新商品が大量に入荷され意識を引く。

靴屋には珍しく心を奪うヒールが並んで、迷うことなく購入しすでに足元でカツカツと響く。

通いこんだ化粧品のブースでは馴染みの店員さんが笑顔で声をかけ私の好みの色味の新商品を見せてくる。