そんな理由で?と普通でなら食いこんで追及をするのかもしれない。

でも、その理由は私だからこそ一番ストンと納得がいってしまったのだ。

「刺激…か」

「刺激ですよ」

「………」

「最近は別の刺激もありきだけどね」

「はっ?」

「……ほら、…お終い、」

「あ、……終わったの?」

いつの間にだ、ストンと打ち切られた会話に違和感を抱くも束の間。

終わりを告げられたそれを確認すれば、

「雪の結晶?」

「俺のルージュだって名札は必要でしょ」

あらあら、普通の若い子であるならコロッと絆され頬の一つでも染めそうな。

私であっても彼の持ち合わせた端麗な姿と雰囲気の効果にほんの少し疼いた物はある。

それでもだ…

「……フッ、乗せられてくれないか」

「…調子に乗るな」

必然の流れだろうと言わんばかりに静かに寄った顔の距離に、言葉より早く彼の唇を阻んだ自分の手。

それでも、彼もこの流れは予想の上での行動で、私の切り返しに落胆するより楽しげに笑って見せる。