諸々『何でだ?』とその時でさえも不満をたっぷり乗せて疑問をぶつければだ、

『服を着るのって人間の証明じゃない。下着は逃げ道への最低限かな』

『何で白かって?俺専属の白衣の天使なんでしょ?ルージュは』

さすがに鈍器で殴りつけてやろうかなんて衝動にかられたけれど、生憎この部屋は物に恵まれておらず、心で詰るにとどまった。

日々そんな彼のペースに言いくるめられ、押し切られて振り回される。

今もだ、帰ってくるなり私からすればどこまでも警戒抱く上機嫌さで距離を詰め、『ただいま』の言葉よりも早く、

「タトゥー入れよ」

と、決定事項としてトチ狂った要求をしてきたのだ。

結果、散々な掛け合いを経て『見えない位置に小さくだから』と足を開かされたのは数十分前。

もう面倒だと諦め足を開いたのは事実。

それでもチクチクと肌に刻まれる痛みには早々に諦めた自分を呪う程の効果がある。

人の苦痛など素知らぬ姿は相も変わらず口元に弧を浮かべ、名前すら知らぬ道具で無責任にアートと言う名の傷痕を刻む。

「……動物虐待」

「フハッ…笑わせないでよ。手元が狂うって」

「飼い主が飼ってる生き物に苦痛を与える。……虐待でしょ」

「痛みって気持ち良くない?生きてるって手っ取り早く分かるし」

「そんなマゾっ気持ち合わせてない。痛いとか苦しいなんて出来るなら避けたくて、少しでも緩和させてなくなってほしいモノじゃない」

そんな感覚が人一番強いからだろうか?

あんな職種を選んだのは。