プライベートは謳歌していると思っていた。

好きな服を着て、メイクをして、ときめきなんて物は抱く回数は減少したけれど安定した恋人もいる。

どんなにつまらない時間に人生の大半を占められても、プライベートはそれを補う潤った自分に満ちていると。

でも……違ったのだ。

気が付いた瞬間に悟ったと言うべきか、諦めたと言うべきか。

見て見ぬふりで誤魔化していた自分というモノに。

昼も夜もさして変わりはない。

装いを変えようが満たされない中身に変わりはなくて、人生の節目の様な誕生日を恋人に忘れられ、その為の装い全てが無駄になった瞬間に事実を受け入れどうでもよくなった。

そんなつまらない女のつまらない話なだけ。

「どうでもいいから……刺激欲しさに『ワンナイトでも楽しんでやろうか』とか、くだらない事思ってあてもなく煙草吹かしてただけよ」

「やっぱり誘ってたんじゃない」

「誘ってたら何?誘われて買ってくれるつもりだったとか言う気?」

「かうよ」

まさかでしょ。と鼻で笑いかけた冗談のつもりが、速攻で当然の様に響かされた一言には持っていた消毒液のボトルを落してしまった。

そんな私の反応にクスクスと笑う彼の目は冷静で、静かに消毒液を拾うと私の手の中に収め直して……再度、

「かうよ。……買いたいし、飼いたいし」

「ちょっ……」

何を言い出すのか。

これもまた冗談の類かなんなのか。