「おっはよーございまーす♪」

いつものように出勤をしてきた彼女だが、どこか違うことに気づいた。

特にこれと言って変わったところはないはずだけど、何で違うって思ったんだろう?

気のせいかな?

僕は首を傾げると、
「美都さん、ちょっといいですか?」

書類を片手に、後輩である森坂美都さんのデスクに歩み寄った。

「はい、何でしょうか?」

腰近くまであるストレートの黒髪がサラリと揺れた。

少し前まで、僕は彼女のことが好きだった。

一流の職人が丹精をこめて作ったような人形のようにかわいらしい容姿はもちろんのこと、性格も含めて彼女に恋をしていた。

「これなんですけど…」

「はい」

美都さんは手元の書類を覗き込んできた。