「由菜にも恋の出会いがきた?」

そう聞いたあたしに、
「あ、ある訳ないじゃない!」

由菜はブンブンと首が飛ぶかと思うくらいに強く横に振った。

おいおい、何もそんなに否定をしなくたっていいじゃないか…。

「あたしはね、妹としてお姉ちゃんの心配をしてあげてるの。

由菜にも彼氏ができたらダブルデートがしたいな、なんて」

「た、たぶん、そんな日はこないから…」

呟くように返事をした由菜に、
「えーっ、そんなことを言わないでよー」

あたしは言い返した。

本当に内気なんだから。

「別にあたしが勤めてる会社の人じゃなくたっていいのよ?

他にも会社はいっぱいあるんだし、他にだって目を向けてみても…」

「ほ、本当にいいから!」

由菜は首を横に振って返事をしたのだった。