店内に足を踏み入れると、
「いらっしゃ…何だ、兄さんか」

ウエイターの制服を着た男の人があたしたちを迎えてくれた。

えっ、“兄さん”って言わなかったか?

「よっ、久しぶりだな」

索様は彼に親しく声をかけた。

「くるならくるって連絡してくれればいいのに…」

やれやれと言うように息を吐いた彼に、
「凱はともかく、まひるさんが気をつかってしまうだろう」

索様は言い返した。

彼の名前は“凱”と言うのかと、そんなことを思った。

「兄さん、その人は…?」

凱さんがあたしの存在に気づいた。

「彼女は受付の香西由菜さん。

食事をしようと思って、香西さんを連れてきたんだ」

索様が紹介をしてくれたので、
「初めまして、香西です」

あたしはペコリと凱さんに頭を下げた。