由真ちゃんがいなくなって、ここにいるのはわたし1人だけになった。

洟をすする音だけが大きく聞こえる。

「――社長、怒っただろうな…」

わたしは呟くと、息を吐いた。

社長に問いつめられて、わたしは自分たちが入れ替わっていたことを彼に全て打ち明けた。

――ごめんなさい!

打ち明けた後でわたしは社長に謝って逃げたのだった。

社長は自分が騙されていたことに怒っただろうな…。

最悪の場合は、会社を辞めた方がいいのかも知れない。

「次の就職先、見つかるかな…?」

そんなことを思っていたら、チャイムが鳴った。

由真ちゃんがもう帰ってきたのだろうか?

宅配便なんて頼んでいないはずだし…。

わたしは首を傾げると、玄関へと足を向かわせた。