索様は何も言わなかった。

あたしのことを怒鳴ろうとしなければ、責めようともしなかった。

「えっと、由菜にも用事がありましたら…」

「少しだけ話をしないか?」

あたしの言葉をさえぎるように、索様が言った。

「えっ?」

思わず聞き返したら、
「君と話がしたい」

索様が言った。

近くの広場に足を踏み入れると、忘れ去られたように隅に置いてある錆びたベンチにあたしと索様は一緒に腰を下ろした。

「まずは、ごめん」

何故だかよくわからないけれど、索様は謝った。

謝られた理由がよくわからなくて、あたしは首を傾げた。

「君と話がしたかったから住所を調べて訪ねてきたんだ。

こんなストーカーみたいなことはしたくなかったんだけど、仕方がなくて…」

そう言った索様に、
「いいですよ、そんなの…」

あたしは首を横に振って答えた。