子爵は新妻を独り占めしたい

「エリック、サーヤにあいさつは?」

エリックはエミリーの声を無視すると、グラスに水を注いだ。

「全く、もう…」

エミリーは呆れたと言うように息を吐くと、紗綾に視線を向けた。

「ごめんね、サーヤ。

後でよーく叱っておくから」

申し訳ないと言うように謝ってきたエミリーに、
「いえ、大丈夫ですから…」

紗綾は心配しないでと言うように笑いかけた。

「全員そろったし、食事にしましょう」

エミリーが宣言するように言ったので、エリックは両手をあわせた。

彼のマネをするように、紗綾も両手をあわせた。

その後でエミリーも両手をあわせると、
「いただきます」

あいさつをして食事に取りかかろうとした時だった。