子爵は新妻を独り占めしたい

冷たい水が躰の中に入ってきた。

「サーヤ様、飲み物はどうされますか?

オレンジジュースとミルク、どちらになさいますか?」

クレアが聞いてきた。

「じゃあ、オレンジジュースでお願いします」

紗綾がそう答えると、
「かしこまりました」

クレアはグラスにオレンジジュースを注いだ。

「座ったら?」

エミリーに声をかけられ、紗綾は椅子に腰を下ろした。

「おはよう、姉さん」

エリックがあくびをしながら、リビングに入ってきた。

「おはよう、エリック」

「おはようございます、エリックさん」

エミリーと紗綾はエリックにあいさつをした。

エリックはチラリと紗綾に視線を向けると、すぐに椅子に腰を下ろした。