「ねぇ。」
「なに?」



「私が好きって言えばいいの?」
「えっ、言ってくれるの?」



優斗の声があからさまに明るくなる。



顔は抱きしめられてて見えないけど、きっと嬉しそうに笑ってるに違いない。



「言えば同じ言葉返ってくる?」
「……それは…難しいかなぁ。」



「なんでよ。」
「沙織が可愛いから。」



それ理由になってない!



話流そうとしてる。
じゃあ私が好きって言っても意味ないってことだよね。



「バカ、私の気も知らないで。」
「じゃあ俺の気持ちもわかってよ。」



「わかるわけない!


もうこうなったら彼氏作って優斗以外のものになってやる!」



それは投げやりに言った言葉。



本気じゃなかったし、むしろ私を好きっていう物好きいないと思うし



何より優斗しか好きになれない。



だから結局は強がりなんだよなぁって思って自分で悲しくなっていたら……



「……っ、い……優斗?
痛い、痛いから…!」



優斗の腕の力が強くなって、苦しいくらい力強く抱きしめられる。