まだ笑っている誠。
本当にどうしたんだ…?
「沙織ってなんでそんなに面白いんだよ。
反応がいちいち面白くて見てて楽しい。」
そう言ってまた、幼い笑顔を浮かべるのだけど言ってることは最低だ。
「ひ、ひどい……!
幼なじみいじめて楽しいですか!?」
「そりゃあな、楽しい。」
「最低!もうブラウニーは没収!」
そう言って誠から奪い取ろうとするけど、手首を掴まれ呆気なく失敗に終わった。
「それはダメだから。」
「なっ…!力強い!」
「そんなの当たり前だろ。」
「悔しい……!じゃあもう作ってあげない。」
「それはもっとダメだな。」
「絶対作らな……ひょっと!まほと!」
今度は誠に片手で両頬を挟まれてしまう。
「……ふっ、ブサイクな顔。」
それは誰のせいかと……!
「ひゃなひて……」
「じゃあこれでおあいこだな。」
何がおあいこだ!
私何もしてないし……!
でも誠に敵うはずもなく、仕方なく従うと手を離してくれた。
くそー、本当に誠って力強いんだよなぁ。
「元気になったみたいだな。」
「うん、誰かさんのおかげで。」
「もっと感謝されてもいいぐらいにな。」
「十分感謝してます…!」
誠がいないと今もきっと泣いてた。
誠のおかげで笑えてるんだ。
「でも、本当にありがとう。」
「……素直になられても困るんだけど。」
「ひ、人がせっかく」
「どういたしまして。」
私の言葉を制するように誠は言葉を返し、立ち上がった。
「じゃあな、また月曜日。
怖がって休むんじゃねぇぞ。」
そう言って誠は最後に、まるで安心させるかのように優しく笑ってから私の部屋を後にした。
最後の最後であれはずるい。
あんなことされると憎めないじゃん。
実際、誠には感謝しかない。
誠が言った通り月曜は休まないと決心し、勉強をしようと私も立ち上がった。