「俺にギャップなんてないだろ。」



「はぁ?どの口が言ってんの。


誠のような人間が一番ギャップで周りの人間を苦しませるのよ。」



「苦しめるってなんだよ。」



「言葉通り。普段クールなポーカーフェイスなくせに、実は優しいし笑うと可愛い。


そんなの周りが黙ってるわけないじゃない。」



「男に可愛い言うんじゃねぇよ。」
「あ、怒った?それとも照れたんだ!」



私が少しからかってやるけど、残念ながら誠は動じない。



呆れてため息をつくだけ。
くそー、冷静男め。



「沙織こそ可愛いだろ。」
「………へっ!?」



そして口を開いたかと思えば、私のことを可愛いと言われ変な声が出てしまった私。



「すぐ優斗って言うし、優斗のことになるとすぐ照れたり泣いたり、でも優斗の前じゃ」



「ごめんなさい!
私が悪かったからそれ以上言わないで!」



どうやら仕返しをされたようだ。
でも私は誠みたいに動じずスルーするのは無理だ。



恥ずかしくなる。



すると満足そうに笑う誠は悪魔にさえ見える。



「この意地悪人間!」



「へぇ。じゃあもう俺、沙織の助けとかしてやんねぇから。」



「ぎゃー!嘘、嘘です!」



誠頼らないと死ぬ!
色々と死ぬ!一人じゃ無理だ。



「でも俺意地悪人間だからなぁ?」



「ごめん!ごめんなさい!ほら、誠は優しいもんねぇ?


もうイケメンだし何から何まで完璧!
すごい!」



でも誠ってこんな根に持つタイプだっけ?
と、不思議に思っていたら……



「……ははっ!」
「………え?」



突然誠が笑い出した。
さっきとは違って、本気で笑ってる幼い笑顔。



これには私もキュンとくる。