「誠くんって本当に沙織の作ったやつ好きよね。」
「そうみたい。
誠、そういう話したら子供みたいな顔するんだよ。」
「私も何回か見たことあるわ。
本当にイケメンさんだからギャップでさらににモテるんじゃないの?」
さすがお母さん、鋭い。
「そうだよ!
誠ファン多いから。」
「でしょうね。
中学の時は荒れてて、両親とも本当に心配してたから今は戻ってくれてよかったわ……。
まさかそれが沙織のおかげだなんて。
幸(ゆき)なんか今もずっと感謝してるのよ。」
幸、とは誠ママのこと。
確かに誠ママには何回もお礼を言われる。
「でも結局やめようって決めたのは誠自身なんだけどな。」
「確かにそうよね。
でもきっかけって結構大事なのよ?」
きっかけ、かぁ。
そのきっかけを私はちゃんと作ってあげられたのかな。
なんて思いながら、もう一度部屋に戻る。
誠はベッドから降りて、ベッドの側面を背もたれとして座っていた。
「お待たせ!」
こっちを向く誠は可愛い。
いつものポーカーフェイスはどこいったんだろう。
幼い子供を見ている気分だ。
なんだか無口な子供を手懐けてる気分。
誠には悪いけど。



