しばらく泣き続けた。



誠の服を涙で濡らしたことに罪悪感はあったけど、誠が抱きしめたままだったからそのまま甘えさせてもらった。



ようやく落ち着いた頃、冷静になったら今の状況が恥ずかしいことに気づき誠から離れる。



「慰めてくれてありがと……!」
「………表情豊かだな。」



さっきよりもさらに日が沈んで暗くなった部屋で誠と二人はなんか変な感じ。



抱きしめられた時も思ったけど、今目の前にいる幼なじみはもう一人の“男の人”になっていた。



「暗いね、電気つけよ。」
「沙織が寝起きだからつけてなかったんだろ。」



「そ、そうだけど……」



なんか慣れない。
それは暗い部屋のせいにしておこう。



「あ、そうだ。
誠のために作ったブラウニー持ってきてあげる!」



「……さんきゅ。」



その言葉に誠の目は輝き、子供のような表情に変わる。



それがいつもの誠に戻ったような気がして、安心する。



部屋の電気をつけてから一階に降りる。



「あら?誠くんは?」
「部屋にいる!ブラウニーとりにきたの。」



「………そう。
沙織、体調は大丈夫なの?」



「あ、うん。
寝たら治った!」



本当は誠に慰めてもらったからなんだけど。