「沙織が思ってる距離を置くっていう意味と違うから、それ。」
「………え?」
どういうこと?
距離を置くって、関わらないようにするってことじゃないの?
「まあ月曜日なればわかる。
優斗の態度は変わんねぇよ。
むしろ悪化するかもな。」
今の誠の言葉で謎は深まるばかり。
悪化する?
距離を置くのに?
「じゃあ、優斗と関わりがなくなるわけじゃないの……?」
「ああ。
あいつにも色々あるんだよ。」
「色々……?」
色々って、なんだろう。
確かに距離を置くって言った優斗はいつもの優斗じゃなかった。
「それは俺からは言えねぇ。
聞くなら優斗に直接聞け。」
言えない。
ってことは誠は知ってるわけで……
「だから、なんで泣くんだよ。」
「わかんない……」
安心感もあるけど、違う感情もある。
私の知らない優斗を誠は知っている。
そりゃ誠と優斗は仲が良いから当たり前なのに。
優斗と距離があるようで寂しい。
でもこれ以上誠に迷惑はかけられないと思い、慌てて手で涙を拭うけど止まらない。
「………あのなぁ。」
そんな私を見て、誠は口を開いたかと思えば突然手首を掴まれる。
「………っ、な、なに?」
「それしたら目腫れるってわかんねぇの?」
「わかってるけど止まらないもん……」
涙が頬を伝う。
その涙が見えないように俯くけど、隠せるわけがない。



