「ありがとう。」
「ん。」



中身を見ると、机の上に置きっぱなしだった道具も綺麗に入れられていた。



その何気ない優しさが、今は心地いい。



「………で?」
「え?」



誠は私をじっと見つめてきた。



「何があったんだよ。」
「………っ、別にしんどかっただけ。」



「どう考えてもおかしいだろ。
何があった?」



いつもより柔らかい口調になる誠。



その言葉で涙が溢れてしまう。



「………何も言わねぇで泣かれても困る。」
「だ、だって……優斗が……」



私がようやく話そうとすると、誠は黙って聞く態勢に入る。



「私と距離置くって、言ってたの聞いちゃって……」



すると誠が少しだけ目を見張った。



「聞いてたのか?」



その質問に頷く。



「他は何か聞いたか?」
「……聞いてないし覚えてない。」



頭が真っ白になって逃げてきたから……



「………はぁ。


沙織ってタイミングいいのか悪いのか本当にわかんねぇよな。」



ため息をついた後、誠は私の頭の上に手を置いた。