ーーーゆっくりと目を開けると、薄暗い部屋が視界に入った。
いつのまにか寝てたんだ。
時間を見るともう7時を過ぎていて、驚いた。
もう優斗は帰ったかな。
思い出すと胸が締め付けられる。
あ、泣きそう。
泣いたらもう、現実を受け止めないといけない気がして涙をこらえる。
しばらく起き上がって、ベッドの上でまたうずくまっていると
突然ノックされた音が聞こえてきた。
お母さんかな。
「はい。」
と返事すればゆっくりとドアが開く。
入ってきたのはお母さん……ではなくて、誠だった。
「ま、こと……」
「起きてるんだったら電気くらいつけろよ。」
「さっきまで寝てたから……」
少し俯いて誠から視線をそらせば、何も言わずに誠もベッドの上に腰を下ろした。
「なんで来たの?」
今は会いたくなかったな。
誠も聞いてたでしょ?優斗の言ったこと。
「なんでって、沙織荷物置きっぱなしだっただろ。」
「……あ。」
本当だ、忘れてた。
誠の顔を見ると半ば呆れ顔で私に鞄を渡した。



