『ゆ、うと……』
『ん?どうしたの?』
『先生に、志望校一つ落とした方がいいって言われて……』
素直に嫌だ、と思った。
優斗と関係を絶ってしまう。
それが嫌だとこの時初めて思った。
優斗が隣にいると胸が高鳴る。
優斗が笑うと胸が締め付けられる。
それは明らかに“恋”だったのに、この時初めて気づいたんだ。
私は優斗が好きなんだって。
『そっか。
じゃあ俺も一つ落とそうかな。』
すると優斗から返ってきたのは予想外の言葉だった。
『な、何言って……』
『だって沙織いない高校生活楽しくない。
だから俺も落とす。』
冗談だと思った。
そんな私のために進路を変えるなんて、好きでもない限りそんなことはしない。
でも優斗は女好き。
きっと励ますために言ってくれたんだって。
だけどその時の優斗は笑ってなかった。
真剣な表情だった。
だから何故だか冗談だと思えなくて、それはダメだと思ったから、ここで諦めずに頑張ろうって思ったんだ。
そのおかげか、無事合格。
合格発表を優斗と誠の三人で見に行った時、私のがあったら優斗は自分のことのように喜んでくれて抱きしめてくれた。



