今、なんて……?
「また目つけられてんの?」
「多分。なんでいつも俺だけなんだよ。」
誠はいつもと同じなのに、やっぱりどこか違う優斗の声音。
その後、頭の中が真っ白になる。
二人の会話はそれ以上耳に入ってこなくて、気づけば家の外に出ていた。
……私の知らない、優斗がいた。
しかも私と距離を置くって。
どういうこと?
今までみたいな関係じゃなくなるって、こと?
さっきまでのドキドキとした気持ちが一気に冷めてしまう。
今度が不安を私が襲った。
もしかしたら期待してたのかもしれない。
優斗は私のこと好きじゃないって思っておきながら、“もしかしたら”という可能性を。
「あら、沙織?
そんなとこ突っ立ってどうしたの?」
呆然とする私に声をかけたのは、ちょうど帰ってきたところのお母さん。
泣きそうになるのをこらえ、笑う。
「誠の家で勉強してたんだけど、気分悪くて……」
「そうなの?
じゃあもう家で寝なさい。」
「うん、そうする……」
お母さんが家の鍵を開けてくれ、中に入る。
すぐ部屋にこもり、ベッドの上でうずくまる。



