「じゃあそんな沙織を賢くしてあげよう!」
優斗がそう言うなり私の隣で、私の解いたテキストを覗く。
自然と距離が近くなるわけで。
ほら、やっぱり集中できない。
「あー、沙織は基本からできてないんだ。」
「一問目からわかんねぇって言われた。」
「それは重症だ。
沙織、頑張ろう。」
さりげなく二人でバカにしてくるのやめてくれないかな!?
「英語なんていらない。」
「すぐそんなこと言う。
俺との新婚旅行で海外行くんだよ?
だから英語はいらなくなんてないからね。」
…………はい?
「なんで私が優斗と新婚旅行行かないといけないの?」
結婚なんてそんな先の話……第一優斗は私のこと好きじゃないし本命作らないくせに。
「なんでって、結婚するから?」
「しないよ、バカ。」
本当にからかうのもいい加減にしてほしい。
「やっぱそこは無難にハワイかなぁ。」
「行かない。誠と行ってきたら?」
「なんで誠?」
「ニコイチだから。」
「おい、俺らがいつそんな仲がいいことになってんだよ。」
「あ、誠照れてる。
そっか、誠は俺とニコイチだと思ってたのか。」
「うぜぇ。
そんなわけねぇだろ。」
そんな私たちを睨み、誠はテキストに視線を戻してしまう。
こんな私たちの相手するのにも疲れたのだろう。
いや、私も優斗の相手に疲れた!
すでに!



