“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜






うーん、と頭の中で考えていると……



「あ、沙織だ!」
「………わっ!?」



誰かが座ってる私に横から勢いよく抱きついてきた。



バランスを崩し、慌てて手を床につけて倒れ込まずに済んだ。



そんな抱きついてきた奴が誰だかなんて顔を見なくてもわかる。



「優斗!危ないでしょ!?」
「あれー、そのまま倒れ込んでほしかったのにな。」



会って早々これはきつい。
すでにドキドキうるさいんだけど。



「もー、いきなりすぎだから。
早く離れて。」



「じゃあキスしよう。」
「うん、意味わからないから。」



優斗の腕を解こうとすると、渋々離れてくれる優斗。



そこで初めて優斗を見れたんだけど……




いや、何このイケメン。




誠の私服姿は見慣れてるから何も感じないけど、優斗はあまり見たことがないから新鮮だ。



「あれ?見惚れちゃった?」
「うるさい。早く始めるよ。」



その時誠が戻ってきた。



手にはコップを持っていて、飲み物を用意していたのだろう。



「騒がしくなったな……」



迷惑そうな顔をして誠は優斗にコップを手渡す。



「それでも誠は優しいからな。
こうして歓迎してくれるし。」



優斗は相変わらず笑顔。



「歓迎はしてねぇ。
無理矢理決められたんだろ。」



「ちょ、それ私のせいだって言うの!?」
「バカな沙織が悪い。」



そ、それはそうだけど……言い方をね、変えてほしいかな!