「なんでこんな問題がわからないんだよ。」
「ご、ごめん………」
「勉強の仕方だろ。」
一問目の基本問題かわからなかった私に誠は呆れたように話す。
でもその後は丁寧に教えてくれたため、すぐ理解できた。
「誠ってなんでそんなに賢いの?
中学時代は荒れてて不良だったくせにー。」
今はもうすっかり真面目になっちゃって。
いいんだけどさ、今の方が。
もう不良になった誠は見たくない。
「それは関係ねぇだろ。」
「ありますー。チャラチャラしてた誠が懐かしい。」
「なんだよ、もう一回そんな俺になってほしいのか?」
「嫌だ、もう二度と荒れないでよね。
不良集団に乗り込んだの、今思えば結構やばいことしたなって思ってるから。」
「確かにあれは驚いたな。
みんな固まってたし。」
今は思い出話にできるってことは、もう誠は更生したってことだ。
でも、ずっと疑問に思ってたことがある。
何故誠が不良になったか、だ。
それまでは今みたいに真面目だった。
男女問わず人気だったし。
それに家庭の事情もなかったはず。
私が知らなかっただけかもしれないけど……
「ねぇ、誠ってどうして不良になったの?」
今だから聞ける。
その理由を。



