「あいつは沙織のことになると異常だから。」
………異常?
誠がそんな言葉を口にしたのは初めてだった。
優斗が、異常?
「今日の誠、やっぱり変。
もういいや、勉強教えてよ。」
「あのなぁ、こっちは真剣に話してるんだけど。」
「理解できないこと言われても困るよ。
やろう、優斗が来る前に。」
「………はぁ、沙織に言った俺がバカだった。」
「誠がバカなわけないじゃん。」
「もう黙れ、沙織。
わからねぇとこだけ言え。」
「………はーい。」
最終的に喋ることも禁止になってしまった。
でも雑談ばかりじゃ捗らないので、私は諦めてテキストを開く。
残念ながら一問目からわからないという悲劇。
「誠、早速わかんない。」
「早すぎだろ……って沙織これ基本中の基本だぞ。」
「え!嘘!?」
こんなの習った覚えはない。



