まあでも協力してあげるしかないよね。
私はお菓子を持って立ち上がり、男子集団の元へ歩いて行く。
「誠!」
「………なんだよ。」
私が来たっていうのに誠の表情は変わらない。
まあいつもだけど。
「あ、森下さん。
食べ終わったからこの席使っていいよ。」
すると誠の前の席に座っていた男子が私のために席を空けてくれ、代わりに隣の席へと移動してくれた。
ありがとうとお礼を言い、有り難く座らせてもらう。
ちなみに優斗はというと、女子に囲まれてるため少し離れたところにいた。
「ほら、これ。
誠に食べて欲しいって。」
「………。」
誠の机の上に、丁寧にお菓子を並べる。
あからさまに嫌そうな顔をした誠。
なぜなら甘いものが好きじゃないからだ。
バレンタインの時もこんな顔してた。
「………最悪。
まじで地獄。」
「地獄って、せっかく作ってくれたんだよ?
持って帰ってあげなよ。」
とか言ってみるけど誠のことだ。
バレンタイン同様、必ず持って帰る。
食べてるかはわからないけど……
気になったから聞いてみた。
「誠さ、バレンタインでもらったお菓子ってどうしたの?」
「は?
そんなの食べたに決まってるだろ。」
「嘘!甘いもの嫌いなのに?」
……ああ、でもバレンタイン終わってからしばらくの間は誠、顔色悪かったな。
なんか負のオーラを纏っていた。
「逆になにがあんだよ。」
「誠ママに食べてもらうとか?」
「仮にも俺のために作ってくれたのにそんなことするわけねぇだろ。」
うわっ……今のは幼なじみの私でもドキッとしてしまった。
かっこいい発言をさらっとする誠。