付き合ってもないのに私一人嫉妬してバカみたい、なんて思っていたら……



「あ、あの!
沙織ちゃん、だよね?」



と、誰かに声をかけられた。



見ると、これまた他クラスの女子数人がいた。



ちなみに手にはお菓子を持っていて、なんとなくわかった。



「と、東崎くんに渡してもらっていい……?」



「この間のバレンタインもそうだけど今回もごめん、お願いします…!」



やっぱり、誠に渡す用だ。



「でも誠すぐそこにいるよ?
呼んであげようか?」



と私が聞くと、女子たちは全力で首を横に振った。



「だ、だ、大丈夫……!」
「恥ずかしいから、本当に……!」



「そ、そう?」



顔を赤くして女子たちは私にお菓子を渡し、教室から出て行った。



モテモテだなぁ、誠も。
女嫌いで女子と全然話さないくせに。



食べてやろうか、このお菓子。
ってそんな罰当たりなことしないけど。