「だから気をつけなよ?」
「う、ん?って何を?」



「加賀のこと。
あいつ私が見てきた男の中で一番やばい気がする。」



「根拠は?」
「そんなの女の勘に決まってるでしょ。」



女の勘って……。



「優斗は一番大丈夫でしょ。
穏やかな性格してるし。」



まあ少し危険を感じる時はあるけども。
別に美香が言うほどでもない。



「穏やかな人間が豹変した時が一番怖いの!
本気で東崎にするべき!」



「えー……誠のこと男として意識したことないからな。」



なんでそんなに優斗を嫌うかな。
違うか、美香は誠の方が好きなだけか。



「そこ、三角関係になればいいのに。
東崎が沙織奪っちゃえ。」



「そんなのあるわけないでしょ。


誠が私を好きとかありえないし、私だって優斗一筋なんで。」



「………はぁ。」



私の言葉を聞いて、美香は面白くなさそうな顔をする。



美香は略奪愛的なドロドロの男女物語が好きなようで……。



「まあいいや。
とにかく何かあったら私に言いなよ?


それか東崎か。」



「そりゃするけどさぁ、周りに言うほどのこととかあんまりないよ?」



昨日のことはさすがに誠に話したけど。



「いや、加賀は私の中で要注意人物だから。」



どうやら優斗は美香の中で危険人物に認定されたらしい。



なんて、この時の私は軽く流していたけど



まさか美香の考えが当たっていただなんて
考えすらしていなかったんだ。