「沙織。」
そんな時、優斗が私の名前を読んだ。
「な、なに……?」
恐る恐る顔を上げれば、にっこりと満面の笑みを浮かべる優斗。
でも作り笑いに見えなくもないその笑顔は少し怖い。
「なんで誠の方行くの?
こっちおいで。」
なんでって言われても、優斗のせいだから……!
なんて言えるはずもなく。
ただ首を横に振った。
「沙織、いいから離れろ。」
「ぎゃー!無理無理、心臓もたない!」
誠はそんな私から離れようとしてくる。
電車の中なんだから大人しくしててよ……!
うるさくする私も悪いけどさ。
「はい、捕まえた。」
少し油断してる隙に優斗が私の腕を掴み、引っ張ってきた。
自然と体は前に行くわけで。
「沙織は俺の横にいなきゃダメだから。」
そしたらなんか意味不明なこと言い出すし。
女の子なら誰でもいいんでしょ。
って言ってやりたいけど自分も傷つくから言わない。



